book:「医療に置ける子どもの人権」
2008年 01月 20日
「医療における子どもの人権」
栃木県弁護士会「医療における子どもの人権を考えるシンポジウム」実行委員会(著)
明石書店
この本のタイトルが目に入ったのは、英国で知ったホスピタル・プレイ・スペシャリスト(HPS)という仕事をふと思い出したからでした。私が住んでいたエジンバラには数少ないHPSのトレーニングコースがありました。
はじめにHPSという職業を教えてくれたのは、このコースのために留学していた牧師様だったので、私はてっきりPlay(遊ぶ)ではなくHospitalPray(祈る)Specialistだとしばらく勘違いしていました。しかし、その必要性が日本ではほとんど理解されていないことを知り、HPSの仕事やコースに興味を持つようになりました。それまで私には病気の子どもたちへの視点がありませんでした。
さて、HPSのしごとですが、
入院している子どもに遊びのプログラムを提供することです。入院によって家族や友達から離れて闘っている子どもたちの不安やストレスに対処したり、その年齢にあった心の発達のために遊びを提供します。
また、HPSは人形や手作りの検査キット、治療キットを使って、これからどのような治療が待ち受けているかを子どもたちに説明するのも仕事です。というのも、検査や治療に対する説明がきちんとないまま、おもちゃなどで気をそらされ、訳の分からないまま痛い思いをしている子どもたちが少なくないからです。大人に対して同じことはしませんよね。年齢にもよりますが、子どもへの治療の説明は必要ないという認識が広がっているのが現状だそうです。それでは子どもたちの不信感をつのり、回復後もトラウマになってしまうこともあるのではないでしょうか。
本書では、入院中の子どもたちの権利を守るために、主に以下の3点を論じています。
1.親の付き添い
2.入院生活 遊び・学び
3.子どもに対する説明・子ども自身による決定
入院中の子どもたちはただでさえ病気の苦痛に苦しんでいる上、我慢を強いられることが多いのです。子どもには教育と遊びによって成長する権利があります。特殊な環境なのでなかなか実感のわかない分野でしたが、読んでみて同感しました。日本にはまだ3人しかいないそうです。(アメリカ、カナダでトレーニングを受けてきた同格のチャイルド・ライフ・スペシャリストはもう少し多いそうです。) 一方、英国では小児病棟の96%にHPSが配置されています。
まだ新しい試みですが、HPSの必要性が浸透していくことを願います。こんな風にからだと心を病み、「癒し」を求めている子どもたちがいることを知っていただくきっかけになる1冊ではないでしょうか。
栃木県弁護士会「医療における子どもの人権を考えるシンポジウム」実行委員会(著)
明石書店
この本のタイトルが目に入ったのは、英国で知ったホスピタル・プレイ・スペシャリスト(HPS)という仕事をふと思い出したからでした。私が住んでいたエジンバラには数少ないHPSのトレーニングコースがありました。
はじめにHPSという職業を教えてくれたのは、このコースのために留学していた牧師様だったので、私はてっきりPlay(遊ぶ)ではなくHospitalPray(祈る)Specialistだとしばらく勘違いしていました。しかし、その必要性が日本ではほとんど理解されていないことを知り、HPSの仕事やコースに興味を持つようになりました。それまで私には病気の子どもたちへの視点がありませんでした。
さて、HPSのしごとですが、
入院している子どもに遊びのプログラムを提供することです。入院によって家族や友達から離れて闘っている子どもたちの不安やストレスに対処したり、その年齢にあった心の発達のために遊びを提供します。
また、HPSは人形や手作りの検査キット、治療キットを使って、これからどのような治療が待ち受けているかを子どもたちに説明するのも仕事です。というのも、検査や治療に対する説明がきちんとないまま、おもちゃなどで気をそらされ、訳の分からないまま痛い思いをしている子どもたちが少なくないからです。大人に対して同じことはしませんよね。年齢にもよりますが、子どもへの治療の説明は必要ないという認識が広がっているのが現状だそうです。それでは子どもたちの不信感をつのり、回復後もトラウマになってしまうこともあるのではないでしょうか。
本書では、入院中の子どもたちの権利を守るために、主に以下の3点を論じています。
1.親の付き添い
2.入院生活 遊び・学び
3.子どもに対する説明・子ども自身による決定
入院中の子どもたちはただでさえ病気の苦痛に苦しんでいる上、我慢を強いられることが多いのです。子どもには教育と遊びによって成長する権利があります。特殊な環境なのでなかなか実感のわかない分野でしたが、読んでみて同感しました。日本にはまだ3人しかいないそうです。(アメリカ、カナダでトレーニングを受けてきた同格のチャイルド・ライフ・スペシャリストはもう少し多いそうです。) 一方、英国では小児病棟の96%にHPSが配置されています。
まだ新しい試みですが、HPSの必要性が浸透していくことを願います。こんな風にからだと心を病み、「癒し」を求めている子どもたちがいることを知っていただくきっかけになる1冊ではないでしょうか。
by sally_herbalist | 2008-01-20 07:42 | 医療現場から